”まちの隙間埋め”をテーマに尾道で活動する株式会社めじ。
そんなめじとの偶然の出会いで始まったfarm and bed SETODAプロジェクト。
ある日この地域で訪問介護をしている知り合いから一本の連絡が入る。
「一人暮らしの家主様がこれからホームに入居するにあたり、空き家になるので引き取ってくれる人を探している」
たまたまメンバーが島にいたこともあって、その日に内覧へ向かうことに。
商店もなく、尾道の人でもなかなか立ち寄る機会のない高根島。
この島にはレモンの栽培を行なっている農家さんがたくさん住まわれており、それぞれの住宅庭にも多数のレモンの木が植えられている。
高根大橋を降りて車を走らせること数分、そこにあったのは⋯
50坪の平屋、裏には130坪の農地、農地を取り囲むように防風林がそそり立ち、防風林を抜けると瀬戸内海のパノラマ。
これまでの長い年月、果樹畑と瀬戸内海を眼前に置いた暮らしを続けてきたこの場所。
この価値をなんとかして存続させることはできないか⋯
「我々でさせてください」
何をするかは決めてなかったものの、その場で即断だった。
「さて、ここをどうしていこう」
ここはしまなみ海道の中心に位置する尾道市瀬戸田町。
日本一のレモン生産量を誇る町にある人口わずか400人の島「高根島」。
この地で営まれてきたであろう、自然と共に生きるレモン農家の暮らしを勝手に想像してみる。
レモン畑と瀬戸内海が隣接した小さな平屋の一戸建て。
太陽が昇る頃に作業を始め、日が沈む前には家路に着く。
海が穏やかな時は空を仰ぎ、海が荒れた時は天を祈る。
毎日少しずつ育つレモンの実りを楽しむ。
農作業の合間に、お風呂やサウナで疲れを癒していたかもしれない。
天気がいい日は釣り糸を垂らしていたかもしれない。
収穫の日には、仲間と火を囲んでいたかもしれない。
「自然と共に生きる知恵と風土を尊重した宿にしよう」
レモン畑に囲まれ、海を一望できるこの家は、農的な暮らしの良さを凝縮したホテルとして生まれ変わりました。
サービスを競うわけでもなく、ホスピタリティの価値を提供するわけでもない。
四季を通じて一つとして同じ景色が無い、眼前に広がる瀬戸内海が作り出す物語。
「農」と「暮らし」が共存するこの場所で、農家の営みとその隙間にある日常の価値を最大化して提供しています。
光の刺さないジャングル状態のレモン畑を大伐採
「長い時間を過ごすリビングやお風呂からは、レモン畑を眺められるようにしたいね」
そうして、元々畑に面していた3つの個室を、新たにリビングとお風呂へと作り変えることを決める。
しかしなんと、窓から景色が全く見えない。
長らく人の手が入らなかったレモン畑には、木々と雑草が鬱蒼と生い茂り、風は通らず光すら一切刺さない状態。
まずは伐採からと、ひとまず地元の業者さんに見てもらうものの「これはきついね⋯」とやんわり断られ・・・覚悟が決まる。
farm and bedプロジェクトの第一歩はメンバー総出で真夏の大伐採。
火照った身体は海で冷やし、日没と共に作業を終えたら瀬戸田の銭湯と町中華へ。
こうして人が立ち入れない状態から、ウッドデッキやバレルサウナのある心地よいレモン畑へと生まれ変わりました。
無農薬レモン
完全無農薬でのレモン栽培に取り組んでおり、安心して皮ごと料理やレモンサワーにお使いいただけます。
リビングにはレモンサワーのサーバーを常備し、冷凍庫にはこの畑で採れたレモンを凍らせてレモン氷としてご提供。レモンサワーへの”追いレモン”をお愉しみください。
この地らしさを大事にしたデザイン
デザイナーは入れずに、自分たちで”この地らしさ”をテーマにデザインを行いました。
建物全体の壁には瀬戸漆喰を採用し、土の中にいるかのような質感に。
空き家再生の過程で出てきたこの家の廃材を練り込むことで、唯一無二の質感に仕上がりました。
尾道や瀬戸田は造船業も盛んなまち。
造船の過程で出てくる”パーツをくり抜いた後の鉄板”を頂き、壁のアートやレモン畑の柵として利用。
宿にこもるだけでなく島の冒険を
シーカヤックと電動自転車を導入し、めじの代表自らお客様をご案内。
宿にこもるのもいいけれど、圧倒的な大自然や、島ごとに異なる風土を五感で感じることこそ旅の醍醐味。
ストーリーに載せたひと味違うツアーへとお連れします。